RFCチョーク・コイルの比較テスト


毎度の事なれど、回路に電源を供給する為に用いられるRFCチョーク・コイルなるモノの高周波領域における特性などを少々、確かめたくて実験してみました。

理屈では理解しているものの、その実体的把握となると、世の中に氾濫している電子回路でのRFCコイルの使い方には千差万別に感じます。
先日、完成したポケットDDS Testerを用いて実験してみます。

昨今のデジタル全盛時代、その巧みなデジタル技術を駆使して仕上げられた電子回路を良く見てみると、どうも納得がいかなかったりする部分もあり、デジタル的感性での設計なのだろう、と、諦めてしまう癖が付いてしまいました。

高周波領域での設計と、デジタル的設計とでは、出来上がった製作物に違いが出てきます。
その最たる代物の代表格が、このRFCチョーク・コイルではないでしょうか?
信号ラインへの電源供給という、簡単な役目のパーツですが、かじってみると、とても奥が深いシロモノなのです。
ギガ・ヘルツ帯辺りでは、バイアス・ティーなどのような呼び名で呼ばれていたりします。
そこまでではなくとも、身近な回路に用いられる事を前提にテストしてみました。


345μH RFCチョーク・コイルの特性

今どきのRFCコイルとして多用されている種類のコイルの特性です。
低周波領域では、その電気的特性も維持されていますが、高周波領域に至ると、すっぽ抜け状態の特性に変貌してしまいます。
小型で簡単なパーツの為に、多方面に利用されているタイプのコイルです。
このタイプのコイルを使う場合には、十分なる注意を払いながら用いたいものですね。
なお、図の下側のグラフは、回路インピーダンス特性図です。


2.7mH RFCチョーク・コイルの特性

RFCチョーク・コイルの容量を増やす場合に用いられる、フェライト・コア・ポッドを利用したコイルの特性です。
やはり、高周波領域では、RFCとしての役目が薄れてきています。


500μH RFCチョーク・コイルの特性

この500μH RFCチョーク・コイルは、以前のテレビに用いられていたリビルト品です。
空芯コイルですが、多重密巻きされているのが特徴です。
多重密巻きされている為か? 高周波領域において、特性が悪化しだしています。


200μH RFCチョーク・コイルの特性

今回のテストの中では、一番素直な特性を見せてくれました。
見た目もさることながら、これぞRFCチョーク・コイルという構造をしています。
高周波領域に於いても、特性の乱れが生じていません。
高周波領域でもそのインピーダンスも確保されています。
ただ、200μHなので低周波領域でのインピーダンスの低下が問題です。


フェライトコア #73_16t RFCチョーク・コイルの特性

このフェライトコア #73 を用い、16tほど電線を巻いた RFCチョーク・コイルの特性が最大公約数でもって一番合致しているRFCチョーク・コイルのようです。
ちなみに、コイルの容量は、16t巻いて、1.15mH でした。

高周波領域での特性の悪化はあれど、許容範囲です。
低周波領域まで伸びているRFCとしての特性インピーダンスも良好だと思います。
あとは、巻き数での調整にて、目的のRFCチョーク・コイルへと仕上げれば良いだけです。
諸特性での極端な乱れが出ないところが利点ではないでしょうか?

ちなみに、フェライト・コアを用いた伝送トランスもテストしてみました。


フェライト・コアを用いた伝送トランスのテスト


毎度ながら、ハンダ直付けでのテスト風景です。


フェライト・コアを用いた伝送トランス比較

一番利用するだろうと思われる、#43と、#73とをテストしています。
巻き数こそ違えど、各コアの持ち味に対する特性結果となりました。
#43は、高周波領域での乱れが少ない代わりに、低周波領域まで伸ばすには一工夫必要です。
#73は、高周波領域まで伸ばすには一工夫必要なようですが、低周波領域に至っては素直に実用になりうる特性を持ち合わせているようです。
ちなみに、この#73、1KHzでも伝導してくれています。

とても簡単に見えるRFCチョーク・コイルというパーツですが、使用目的に合わせた部材選びと、それらの特性を最大限に活用できる工夫をすることによって、設計した通りの数値を得ることが出来ると思います。

昨今、デジタル屋さんたちが作られた高周波ユニットなどに少々疑問を抱きながら、独自の改造を施さなければ使い物にならないモノが多く、それらの経験上からくる老婆心での簡単な実験でした。

少しは参考になりますかね、、、、、。

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