最終版 R820T ワンセグチュナー SDR HFコンバーターの製作


今まで数々のHFコンバーターを実験してきました。

勢いあまって簡単には組み立てられないレベルにまでのめり込んだりもしました。

凝りに凝った回路なども実験してみましたが、ふと、そこまで必要なのか?

などと、再考しながら実験を繰り返してきました。



そこで、簡単に、そして、誰にでも実験出来るモノにようやく辿り着いた感のある R820 SDR HF コンバーターを製作してみました。



今までの実験回路で得られたメリット・デメリットなどを集約したものになりました。



アンテナ入力部には、切替不要のHF/VUHFデュープレクサーを。

HFコンバーター出力側には、選択性向上の為バリキャップ・ダイオードを用いて選曲出来るようにしています。


そして、何といっても R820 RTL SDR ドングルを接続したままで、HF帯から1.7GHz帯まで切替スイッチ一つで切り替えられるようにしている点が大変便利です。


基本的 RTL SDR HF受信アダプター



左図が基本中の基本の回路です。

回路構成も簡単な構成です。



このままでも十分使用可能なのですが、そこは趣味の世界という、






お遊び心に火がつき、徐々にあれもこれも、という具合に発展してきそうな元となるHFコンバーター回路ですね。


最終改良型 RTL SDR HFコンバーター



左図を見れば判るように電子回路製作大好き人間が、凝りに凝った結果、頭の中に浮かんできた改良型HFコンバーターです。



実際、確かに改良型らしい受信をしますが、どうしても複雑な為か、いらぬ信号がまばらに聞こえてきました。





もっとしっかり設計し直せば良くなることは判っていましたが、RTL SDRドングルを眺めてみては、そこまでは不必要、と、心の中で囁く声が聞こえてきましたので、実験で終了。


最終版 RTL SDR HFコンバーター

回路構成に凝った設計回路を組み入れるというのは、自己満足でしかない事を今まででの実験で学びました。

簡単な回路構成で、しかも高性能!! そんな回路設計に辿り着きました。

基本に戻った感のある回路構成に見えますが、HFコンバーター出力側の100MHz BPFをバリキャップ・ダイオードにて可変バンドパスとしています。



ついでにMOS FETにて軽~く増幅させDBMなどのロス分を補いました。




最終決定版 RTL SDR HFコンバーター

左図が実際の回路図です。

RF AMPなども書かれていますが好みの問題で付けなくても大丈夫です。

一番注意して設計したところは、何といっても、HF/VUHFデュープレクサ回路の構成です。

次に100MHz IF AMP部の共振回路のトラッキング構成です。

周波数を可変させますので、ズレが生じたら大変です。



コイルなどは手巻きで自作してもその数値にバラつきはさほど有りませんが、使用する電子パーツが曲者なんです。

市販品の中には、トレーサ・ビリティから外れたモノが数多く、数個しか必要ない製作には非常に悩む所ですね。

そこで、毎度お馴染みの不用品からのリビルトです。

今回の製作では、可変範囲も少なく、かつ、トラッキングの容易さから、UHF帯に使用されていたバリキャップ・ダイオードを使う事にしました。




不要テレビ・チュナーからのリビルト品

量産品の多くは均一性能を出す為にも同一品質の電子パーツを使用している場合が殆どで、ブラウン管TVのチュナーなどは、その中でも極めつけの部類ではないでしょうか?

何せ、数多くのアナログ・トラッキングを必要としていた為に同一品質は絶対条件です。

それでも最終調整を必要とするほど電子パーツのバラつきは多いのです。

左図は、TVチュナー部からリビルトした、VHF部(左の山)と、UHF部(右の山)に付いていたバリキャップ・ダイオードです。

やはり、VHF帯の部品点数が多いですね~っ。


取り出したバリキャップ・ダイオードを一つずつ、以前から利用している、バリキャップ測定アダプターにて値を計測してみました。

何となんと、ほぼ同じ種類では同一数値を示していました。

流石は、大量生産品だけのことはありますね。

電子パーツのばらつきが殆ど見られません。

市販品では、このような事はまず無いでしょうね~っ。

この値の揃った電子パーツを使う事にしました。



HF/VUHF デュプレクサー&100MHz BPF コイルの製作

設計どおりになるようにコイルを手巻きして自作しました。

使用したコイル材には、ブラウン管TVの偏向コイルをほどいて利用しています。



まずは、適当な少々大きめの値となるような巻き数で製作し、そこからLメーターなどを利用して設計値に追い込みます。



10Kボビン・コイルを使用していますが、真ん中にあるコア材には注意が必要です。

あまり低い周波数帯に使われているコア材では思った性能が出ません。

今回使用したコア材は、紫色した公称200MHz帯辺りまで使用可能だと思われるモノを使用しました。


実際のRTL SDR HFコンバーター全回路

左図が各パーツをハンダ付けして組み立てた完成したHFコンバーターです。



思ったよりも小さく組み立てられたと思います。

RF信号の流れに注意しながらレイアウトしましたが、組み立ててから、もっと小型化が出来たな~っ、などと考えてしまいました。

HFコンバーター側のRF信号の流れは左周りで。

スルーは、右回りです。



これで干渉も極小化することが出来ますね。
あとの問題は、観てくれ、ですがそれだけは何とも・・・・・。




LPF の周波数特性

HF/VUデュープレクサーとする為に多少うねりが有るのは覚悟していましたが、思ったほどの値では無かったので ほっとしています。



LPF=26MHz

40MHz/-40db



リターンロス 6db位







そのような特性です。


HPF の周波数特性

HPFの単独特性を測定する前にデュープレクサー結線をしてしまった為に下の周波数帯にディップが見られます。



HPF=30MHz



リターンロス 6db位









まずまずの特性ではないでしょうか?


HF/VUHF デュープレクサー結線時の特性

左図がデュープレクサー回路動作の特性です。



LPF側では、HPF側のCとLとで、リジェクション効果が現れています。



そしてまた、HPF側にはLPF側にあるLとCとのリジェクション効果を見ることができます。








ほぼ設計値どおりのクロス点が描かれており、満足しています。


100MHz BPF 周波数特性 +0~+5V



左図は、100MHz帯のBPFのバリキャップ・ダイオードを0Vから+5Vまで可変したところです。



MAX HOLDで見ていますので一つの波形として見れます。










トラッキングSG側の信号強度は、-20dbmです。


100MHz BPF 周波数特性を拡大



より読みやすくする為に2db/として観測してみました。



思ったよりも綺麗ななだらかな特性で本人も驚きました。



やはり、大量製作物って、凄いですね~っ。







電子パーツの高性能に助けられました。



100MHz BPF 周波数特性とBPF帯域



左図では可変BPF全体と、任意点でのBPF帯域を一度に重ね合わせて見たところです。



全体のBPF帯域において、可変したBPF帯域のちょうど良い塩梅の帯域幅になっていました。

より侠帯域にすることも可能ですが、それでは使用していて不憫を感じられるのと、BPFの調整を頻繁に行わなければならないわずらわしさを避けた値としました。



丁度、良いのではないでしょうか?

ちなみに、BPF全体域ラインは、10dB/にて行い、BPF帯域測定時には2dB/にしてBPF特性のラインを読みやすくしました。


また、VUHF帯バンドではさほど気にもならない受信周波数ズレが、HF帯バンドではかなり気になりだします。

そこで考えたのが、28.8MHz XTal のCX0化です。


R820T 28.8MHz 安定化改造製作を参照してください。


誰でも簡単に!!!

が、本来あるべき楽しみの世界だと思いますので何かの参考になれば幸いです。



スタンダードHFコンバーターの様子 SDR#



最もポピュラーなHFコンバーターを用いた時の様子です。

















今までどおりの見慣れた波形です。


今回の最終版 HFコンバーター時の様子 SDR#



今回製作した最終版 HFコンバーターに切り替えて、スタンダードHFコンバーターとの違いなどを見てみました。

ソフト側の設定はそのままの状態を維持し、HFコンバーターだけを換えてみました。

今回のHFコンバーターを使ってみての感想は、軽~く動作させた100MHz IF AMPの効果が現れていました。

思ったよりも素直で、アンプしているのも忘れてしまいそうなほど安定していました。



それよりも、普通みられるざわつき感が感じられませんでした。
やはり、軽い動作が良い結果を出してくれたようです。

ちなみに、ほんの少し数十Hz受信信号の位置が違うのは、HFコンバーター側での100MHz OSCの周波数ズレによるものです。


スタンダードHFコンバーターの様子 HDSDR





SDRソフトの中で一番良く利用するソフトでも比較してみました。





左図がスタンダードHFコンバーター時の受信の模様です。
















今回の最終版 HFコンバーター時の様子 HDSDR





最終版 HFコンバーターに切り替えた時の様子です。



ソフト側の設定は同一にしてあります。



この写真だけでは判りづらいと思いますが、弱い局、受信信号の場合には、今回製作した最終版 HFコンバーターに軍配が上がりました。



ノイズ・フロアー・レベルが上がっているような感じを受けますが、実際に受信音を聞いてみるとノイズのレベル値にはさほどな違いは感じませんでした。

むしろ、微弱受信には今回製作物の方が良好な受信が楽しめました。


これからもまだまだ、改良型が考えられてくるのでしょうが、その度毎に少年のように胸がワクワクしてきます。


老化防止 ボケ防止も兼ねて、意欲的なアイディア溢れるモノを自作したいですね。


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