ヘッドホン・アンプの製作

だいぶ以前、大昔に自作したDCプリ・アンプも今となっては不要な機能も出てきてしまった為にこの際、大改造を行うことにした。

以前自作したDCプリ・アンプ

オーディオ機器にとってスタイルは大変重要な要素である、という独自の思想からレイアウトなどにも気を付けて製作に取り組んだものだ。

スタイルに見合わず、中身は空っぽなんです。
でも、自作という愛着の為かメーカー品以上のオーディオ機器です。

FET E400 & 2SA872×4本で自作した回路構成ですが同相位相特性に注意した設計としました。
そのおかげか? 何といっても音の分解能・空間描写がすばらしい!!!!
自我自賛ですが・・・・・・。

今となっては使用しないテープのダビング機能などもあり、それらを取り去り、新たにヘッドフォン・アンプを内臓してしまおう、という考えにいたりました。
また、左右のバランスなども今までさほど調整した覚えなども無い為に取り去ることにしました。
そして、どうせ改造するのであればチャンネル・デバイダーなども内蔵することにしました。
今となっては、オープン・テープやカセットなどはもはやオーディオ機器には不向きな機材ですね。
入手出来る原音に一番近い音源としてのレコードは別格ですが。


記憶に残る コンサート です。
私の住む田舎に、何とナント!!!
かの有名なベルリン・フィル・ゾリステン楽団が公演をする、という事で、仕事を切り上げてホンモノの音楽を堪能した大切な宝物チケットです。
大好きな弦楽四重奏の音色に包まれた気分は、最高でした。
行政の散財の中で、これだけは許せます。

この時味わった音色が自身のオーディオ特性への基準値となっています。

歪率が悪かろうが記憶に残る音色を奏でる装置が一番だと思っています。
いろんな生演奏を聴いてはみたものの、ベルリン・フィル・ゾリステンが奏でる音色には及ばないと生意気なようですが今でも思っています。
芯のある軽やかな空気を漂うような、まるで羽毛のようなすばらしい音色は忘れられません。
その公演と同じ楽曲レコードを元にオーディオ装置のチューニングを行っていますが、やはり、レコードでさえ実際の公演会場で聴いた音色を出すのは難しいですね。
音そのものに物質を感じさせる印象があるようです。


ヘッドホン・アンプの製作

巷で話題になっているOPアンプを使用したヘッドホン・アンプを試してみました。
思いのほか良かったのです。
良い意味で期待を裏切る結果が出てしまった為、デスクリートでの製作ではなく、OPアンプを利用したヘッドホン・アンプとすることにしました。

OPアンプ 1ヶ使いを、CMoy Amp と言い、その後にバッファ・アンプ用OPアンプ 1ヶ追加したものを、A47 Amp と呼んでいるようです。
また、Trなどで終段バッファ回路を組んだモノをダイヤモンドバッファなどと呼んでいるようですが、いずれも基本的な動作回路で設計されています。
それらを元に実際の音を聴き比べして、最大公約値でもって回路を決定しました。


OPアンプ使用 ヘッドホン・アンプ回路図

左図が最終的に決定した回路図です。
とても簡単な回路ですが、良い音が特徴です。

そして何より、難しい回路では無い事が最大の特徴といえます。

色々なOPアンプを差し替えて音の違いを聞き比べ出来るように回路定数などを決めました。

その為、抵抗値が低く設定されています。
FET入力OP Amp用の設定値にしてしまうと、バイポーラOP Amp使用時に不具合を生じてしまいます。

しかし、回路図製作用の自作パーツの大きさが不ぞろいですね~っ。
もう少し製図を使いこなせないと駄目ですね。 勉強が足りません・・・・。

4580 → 高音の軽やかさが特徴でしょうか。低音領域でのエネルギー不足を感じます。
2114 → 4580と同程度の感じですが、多少エネルギッシュさが有ると思います。
2134 → 明らかに鮮明さを感じます。また、低音部も引き締まった感じです。
2604 → 2134とは別物のようです。 鮮明で低音のエネルギーも申し分ありません。
8920 → 4580系統の持ち味にパワフルさが付け加わった印象を受けました。

そんな感じを受けましたので、初段OPアンプには、OPA2604を、そして、バッファOPアンプには2114を使いました。
2604ダブルでは、どうも硬すぎる音が気になってしまいました。
ちなみに、使用した2604というOPアンプが、最も回路電流を消費していました。

上記の低音増強回路を付け加える事で、低音領域に欠点のあった4580でも十分実用的になり、聞くに耐えうるヘッドホン・アンプに変わります。


実験で使用した自作±可変4電源


今回のヘッドホン・アンプ用±電源に使用した以前の自作可変4電源です。
引っ張り出したついでに、照明用の豆電球を新たにLEDに取り替えました。(明るすぎる!!)
±1V~±30V ・・・±1Vトラッキング調整可

+1V~+30V  ×2系統

という仕様が必要だった為に以前、自作したものです。

いつものながらの廃品活用の産物とは思えないでしょう!!!
電圧計などのメーター類は、捨ててあったオーディオ機器からの戦利品です。
その為、VUメーター特有のログ・スケール的針の振れ方をしています。
読み辛い事、この上有りません。
やはり、リニア・スケールのメーターが良いですね。
すべて専用ICを用いた回路で簡単な電源装置ですが、今まで大変便利に活用してきました。
その時々で少しずつ改良を施しましたので最後にはマジック手書きという手抜きマーキングとなってしまいました。

しかし、今まで壊れなかった事が何よりです。


左右対称にレイアウトしたアンプの実際

左図が組み立てたヘッドホン・アンプです。

とても小さく組み立てられました。

音響回路の製作時にいつも注意して製作していることは、やはり、左右対称になるようにパーツをレイアウトする事を心がけています。

見た目の美しさに注意して製作していくと、その御褒美に性能が良くなります。・・・・・。。。。・・・。

でも、今回の製作には使いまわしの抵抗などを使っていますので、どうでしょう????








さて、実際の動作はどうなのかを見てみましょう。


ヘッドホン・アンプの周波数特性

設計どおりの周波数特性を示してくれました。

50Hz以下の低周波領域でレベルが低下しているのは、カップリング・コンデンサの値が小さい為です。
また、OPアンプの入力側とアース側に接続されている抵抗とでHPF特性が出てきますので適当に値を変えます。

厳密な値で悩む必要はありません。

適当で十分です。
もう少し低音増強用コンデンサの容量を増やし、100Hz辺りからとしたいところですね。





入出力 歪率測定結果

ヘッドホン・アンプの入力レベルを可変した場合の歪率です。

左右とも同じ値を示しました。

やはり、出力電力が足りない事が大きな出力時に歪が大きくなってきているようです。

でも、実際ヘッドホンで聴いてみると、歪率が悪化するレベルの音量など、大きすぎて聞けたものではありません。

32Ωのヘッドホンを使用しましたが、音量的には十分なようです。











左図では見やすいように拡大してみました。


IC 1ヶだけのアンプでは歪の増加するポイントが10dbほど低いようです。

ほんの少しだけでも非力なOP Ampでもバッファ回路の役目を果たしてくれているようです。












周波数帯域における歪率測定


左図は、周波数帯域における歪率を測定したものです。

低周波領域において悪化しているのは、主に電源の影響が大きく関わっています。
また、OP Ampの電源端子に容量の大きい電解コンデンサを入れればだいぶ改善します。

使用した正負電源には、これも以前自作した年代モノの電源を使用しています。









簡単に製作出来てしまうOPアンプを使用した、ヘッドホン・アンプですが、メーカー製アンプにオマケで付いているヘッドホン・アンプよりも数段高い実性能を発揮してくれました。

色々な違ったOPアンプを差し替えながら音の違いを楽しむのも良いかもしれません。
今回の回路構成ではOPアンプだけで、数多ある出力バッファ回路にも負けない性能が出せたのではないかと思っています。

なによりも、OPアンプだけなので回路が超簡単、ということの方が大切です。
ディスクリート・バッファ回路を入れると、多少、音の繊細さがマスクされるような気がします。


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